お知らせ

旧相馬家住宅の2019年 主な行事と出来事

2019年11月8日

重要文化財指定記念イベント開催

4月25日「無料公開デー」
旧相馬家住宅の重要文化財指定登録を記念して、午前10時から午後3時まで無料開放しました(約500名の方が来館)。宝暦年間(1751~1764)に活躍した松前在住の絵師・小玉貞良が描いた「江差屏風」と最も古いアイヌ絵の一つといわれるアイヌ絵巻「ゑ寿絵(えぞえ)」、蠣崎波響の「管茶山居亭図」などを鑑賞していただきました。

5月26日「筑前琵琶と松前神楽 いにしえの調べ」
仙台在住筑前琵琶奏者・高橋旭盛さん演奏の“平家物語”と、道南各地神職有志による重要無形民俗文化財「松前神楽」が披露されました。約80名の方が平家物語の世界に心を馳せ、松前神楽では大いに盛り上がりました。

7月4日「歴史講演会」
角 幸博・北大名誉教授が「一建築史家から見た旧相馬邸の価値と魅力」と題して講演。相馬家住宅が2018年12月に重要文化財に指定された際に、角氏が代表理事を務めるNPO法人「歴史的地域資産研究機構」が作成した「旧相馬邸調査報告書」が重文指定の基礎資料として重要な役割を果たしたことから、建物外側の秀逸な意匠、内部洋間の両引き込み窓や天井モールデイングの幾何学模様の彫刻など、その魅力を詳しく講演してくださいました。約70名の方が来館。

10月17日「江差屏風解説会と郷土史家・近江幸雄氏講演会」 
旧相馬家住宅の重要文化財指定記念講演を締めくくる最後の講演会は、郷土史家の近江幸雄氏(北海道史研究協議会道南地区幹事)による「箱館戦争と箱館新選組」、函館市文化財保護審議委員会委員の松崎水穂氏による「松前・江差屏風と函館~2点の江差屏風から見えるもの」。屏風は、当時蝦夷に進出していた近江商人が蝦夷での様子を故郷に知らせるために注文したもので、第2次大戦後アメリカに持ち去られ、30年後に突如ニューヨークのオークションに登場して日本に里帰りしました。松崎氏は上ノ国町教育委員会に勤められ、生家が江差屏風に描かれていることもあって、上ノ国町地区の説明に一段と熱が入った解説をされました。一方、近江氏も、土方歳三と新選組が東北の戦いからいかにして箱館にわたり、新選組を立て直したのか、わかりやすく興味がかきたてられる解説で聴講者を魅了しました。特に土方の墓が現在も不明で特定されていないことに、新鮮な驚きとロマンを感じた人が多かったようです。予定された時間を大幅に超過し、大満足のうちに終了しました。65名の方が来館。

近江幸雄氏講演会

音声ガイドシステムのリニューアル

当館では、見学の際に音声ガイド機をお貸し出しして、館内の理解を深めていただいております。軽く操作が簡単で、部屋ごとの説明が非常にわかりやすいと好評でしたが、6月から、従来のガイド機よりも簡単に説明を聞ける新システムを採用しました。今回は、各部屋にセットしたシールにガイド機の先端を軽くタッチするだけで聞くことができて、片手で扱いやすくなっています。また、英語、中国語、韓国語などもその場で選ぶことができます。9月には豪華客船で来館された海外からのお客様がその利便性にびっくりして、トリップアドバイザーに投稿してくださいました。お一人や少人数など、マイペースで楽しみたい方には特に好評です。このシステムは、東京のテレビ番組制作会社が開発して、全国の美術館で大きな展示会に有料で貸し出されているものですが、当館ではもちろん無料サービスです。

入館チケット自動販売機採用

9月、玄関受付に小型自動チケット発売機を設置いたしました。慣れるに従って効率のよさを発揮して、仕事の合理化に大いに貢献しています。

カフェの充実、コーヒー無料提供の開始

館内の「カフェ元町」は、最後の当主が住んでいた部屋です。前年末、テスト設置した無料のコーヒー機が大変好評だったので、2019年は春から常設にいたしました。コーヒーを片手に、函館観光で疲れた体を眼下の函館湾から大沼国定公園の駒ヶ岳まで目にする一大パノラマで癒し、自分だけの時間を有意義に自由気ままに過ごしていただいています。

美術館連携

4月、「アートギャラリー北海道」(道南園)に連携しての「相互割引」、プレイベント「波郷ぐるっと4館ツアー」で波響作品鑑賞ツアーが行われ、市立函館博物館、高龍寺と共に、当館も参加いたしました。当館では、収蔵する波響作品の中から、幕末を代表する漢詩人だった菅茶山の居亭図を描いた「管茶山居亭図」(散文は同じ幕臣の岡本花亭が記している)を中心に鑑賞していただきました。

ホームページのリニューアル

約1年がかりでホームページをリニュアールいたしました。重要文化財指定を契機に、旧相馬家住宅は100年保存を目指す新しいスタートを切りました。ホームページの内容も一新を試み、いろいろな問題に直面して苦労しましたが、最後に札幌の運営会社の協力のもとにようやく完成しました。まだまだ満足のいく出来栄えでないので、時間をかけて充実させていきます。

庭園松の木の剪定と一大パノラマ

旧相馬家の庭には、100年以上経過した松の大木が20本以上植えられています。腕のいい職人でも一本に2日、3日を要することがあります。剪定前の松の木は視界を遮り、豪華客船の入港もなかなか見ることができませんでしたが、剪定後は、どの和室からも函館市街と横津連峰、大沼の駒ヶ岳まで、大パノラマが広がっています。ぜひ皆様にもお越しいただき、当主が見たであろう景色をお楽しみいただければと思います。